朝、目が覚めた。洗面所で顔を洗い鏡を見ると、見知らぬ青年がいた。驚いたなら、彼もまた大きく肩を揺らす。それにまた驚けば、彼もまた同じようにした。考えられることは一つだが、さて、僕はいつの間にか死んだのだろうか。それでは、目の前の青年の魂はどこへ行ってしまったのだろう。何ということだ。これを悲劇と呼ばずして、世に悲劇などないに違いない。しかし、と思考する。

「ユキくん、ご飯食べなさい」
「あ、はい」

 どうやら青年はユキというらしく、また、その辺りは何故か記憶していた。まじまじと鏡を見つめ、にこりと笑ってみる。

「……悪くない」

 なかなかに様になる顔をしている。そうか、これは喜劇なのだ。


悲、喜劇



theme // 300文字企画
plan by, Oxygen shortage / 酸欠
writing by, Makoto Suzuki


- mono space -